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徹底比較!! 人気米国高配当株ETF!! VYM/SPYD/HDV
最近ツイッター等で米国ETFという言葉をよく耳にする機会が増えてきました。
ETFとは株式市場に上場している投資信託のことで、上場投資信託と呼ばれます。米国ETFとは米国の株式市場に上場している上場投資信託の事を指します。
ETFは数十から数千の企業の株式から構成されているため分散が効いた非常に良い商品ですが、この記事では現在人気の米国ETFに対してそれぞれどのような特徴があるか解説し、特徴の比較を行っていきます。
今回はVYM/SPYD/HDVといった高配当株で構成され、インカムゲインを得る事を目的とした米国ETFを対象として比較を行っていきます。
今まで見られなかった素顔が見えてくるかもしれません。
*インカムゲイン:資産を保有していることで得られる収入のこと。債券投資や預金などから生じる受取利子、信託の結果としての収益分配金、株式投資の場合の現金配当などの総称。
各米国ETFの特徴
それではまずはじめにVYM/SPYD/HDV各ETFに関して一つ一つ特徴を解説していきます。
VYMの特徴
VYMの特徴を見ていきます。
VYMの基本情報
表の中の赤字になっている部分が良い特徴的な部分、青字がどちらかと言うと悪い特徴となります。
まずVYMで一番の特徴は高配当株ETFの中で構成銘柄数が最も多い400銘柄である事です。この点で分散が非常に効いている高配当株ETFであることが言えます。
また、設定年数が2006年ということで「リーマンショック(2009年)」を経験した上で成長している事も良い材料です。実際に1年のトータルリターンを見てみると10%未満の下げ幅となっており、コロナショックでの暴落でもその他の指標等に比べ下落幅が小さくなっており、暴落に強いという特徴を裏付けるデータとなっています。
また、信託報酬についてはその他のETFとほぼ同等の水準で0.06%と割安なのに加え一株単価も$100未満ということで非常に投資し易い銘柄と言えます。
肝心の配当率については直近配当利回り2.9%ということで高配当株という意味だと少し物足りない結果と言えます。しかし、5年増配率を見てみると3つの銘柄のうち一番大きい数値を示している事から将来的な配当金の上昇が期待できます。
また、高配当株であるにも関わらず5年トータルリターンが5%以上ある点については素晴らしい特徴です。現状の下落相場で買い始めれば将来的な株価上昇が見込め、トータルリターンについても一定の利益を得ることが可能であると考えられます。
VYMのセクター比率
VYMのセクター比率をレーダーチャートで示すと下記の通りとなります。
VYMのセクター比率は非常に分散が効いていてこれひとつだけでも十分なポートフォリオを形成することができます。
- ポシティブ要素
「リーマンショック」を乗り越えている
セクター分散が非常に効いている
信託報酬が0.06%と割安
高いトータルリターン - ネガティブ要素
特になし - セクター比率上位3セクター
ヘルスケア/金融/消費材
SPYDの特徴
それでは、SPYDの特徴から見ていきましょう。
SPYDの基本情報
表の中の赤字になっている部分が良い特徴的な部分、青字がどちらかと言うと悪い特徴となります。
まずSPYDの特徴として挙げられるのが高い配当率です。高配当株ということなので当然この値が気になる方が多いと思いますが現状7%越えと高い配当率を示しています。
ただし、ファンドの設定年が2015年ということで大きな暴落を経験してこなかった事により暴落による影響が懸念されていた通り、今回の暴落により1年トータルリターンが-28.6%を記録するなど、株価が大幅に下がってしまい、まさに一人負けといった状況となってしまいました。
しかし、信託報酬は0.07%と割安であることと、今回の大暴落により株価が下がったことで一株単価が$30未満と非常に安い水準となっていることから非常に購入し易い状況にあるといえます。
5年トータルリターンに関しては設定年が2016年という事で現状結果が出ていませんが下記のように設定来のトータルリターンを見てみると-4.38%とやはり今回の暴落による影響がいかに大きかったのかが分かります。
この状況だとSPYDの危うさだけクローズアップされてしまいますが、運用会社(ステートストリート)も放置しているわけではなく、暴落後即座に銘柄の組み替えが行われ現在の経済状況に即した強みを手に入れた他、FRBによる社債/ジャンク債の買付により高配当銘柄の懸念が解消されている事もよい情報です。
ただし、SPYDの株価上昇は「不動産」セクターに頼っている側面が大きい中、組み込まれている不動産は景気敏感銘柄である事、銘柄変更で追加されたギリアドについては市場から不信感を抱かれている可能性がある事などリスク側面も残っているので注意が必要となります。
SPYDの進化やリスクについてはもみあげさん(twitter: @momiage0088)のブログ/YouTube動画で詳しく解説されていますので、是非参照してください!
ブログ記事はこちら↓
【米国株】高配当ETFのSPYDが超絶進化!新たな3つのリスクを追加!
YouTube動画はこちら↓
SPYDのセクター比率
SPYDのセクター比率をレーダーチャートで示すと下記の通りとなります。
SPYDのセクター比率について特徴的なのはその他のETFでは取り扱っていない『不動産』の割合が非常に大きいことです。
セクターの分散についてはVYMほどは平準化されていないものの、思ったよりもいい具合に分散されている印象です。ただし単体で運用するにはもう少し分散されていた方がよいのではないか?と感じています。
- ポジティブ要素
信託報酬が0.07%と割安
一株単価が割安
高い配当率 - ネガティブ要素
「ITバブル」、「リーマンショック」を経験していない
コロナショックでの下げ幅大 - セクター比率上位3セクター
不動産/金融/消費サービス
HDVの特徴
HDVの特徴を見ていきます。
HDVの基本情報
表の中の赤字になっている部分が良い特徴的な部分、青字がどちらかと言うと悪い特徴となります。
HDVの特徴としてはセクター比率にあると考えているのでそれは後述します。
まず設定年は2011年ということで、大きな暴落を経験していないという点が挙げられます。ただし、今回の暴落も含んだ1年トータルリターンを見てみると-12.6%とVYMには劣るもののSPYDほどの下落は記録しておらず暴落への耐性についてはこれで示されていると考えます。
信託報酬についてはその他のETFとほぼ同等の水準で0.08%と割安なのに加え一株単価も$100未満ということで非常に投資し易い銘柄と言えます。
肝心の配当利回りについては4.6%ということで、若干物足りなさを感じる部分はありますが、分散投資を行なった上でこの水準という事を考えると決して低い数値ではないと考えます。
HDVのセクター比率
HDVのセクター比率をレーダーチャートで示すと下記の通りとなります。
HDVのセクター比率の特徴は上記のよう「にエネルギー」、「ヘルスケア」セクターの割合が非常に大きいところです。この点は他のETFには見られない特徴であるといえます。
- ポジティブ要素
信託報酬が0.08%と割安
コロナショックでの下げ幅が比較的小さい - ネガティブ要素
特になし - セクター比率上位3セクター
ヘルスケア/エネルギー/電気通信
VYM/SPYD/HDVの特徴比較
前の項目まででそれぞれのETFの特徴について紹介してきました。
この項では各ETFの特徴の違いについて比較を行っていきます。
各銘柄の特徴のおさらい
基本情報の比較
横に並べてみるとそれぞれの特徴の違いがよくわかりますね!
もっと分かりやすくするためにそれぞれの項目に対して◎/○/△/×に識別していきます。分け方は下記の通りです。
◎:非常に優れている
○:優れている
△:まあまあ
×:あまり良くない
この識別は筆者の独断と偏見て決めているので、参考程度で見ていただけると助かります!
上記をみるとそれぞれの銘柄の特徴がかなり見えてきますね。
私の印象をまとめると下記の通りです。
各銘柄の特徴(青:ポジティブ、赤:ネガティブ)
- VYM
○ 信託報酬が割安
◎ 銘柄数が多く分散が効いている
○ 一株単価が比較的安い
○ 長期的にトータルリターンが期待できる
△ 直近の配当率が若干低い
△ コロナショックでの暴落はあるが暴落率が小さい - SPYD
○ 信託報酬が割安
○ 銘柄の分散が効いている
◎ 一株単価が格安
△ 長期的なトータルリターンは不透明
◎ 配当率が非常に高い
△ コロナショックでの暴落が非常に大きかったが銘柄変更等で対策済み - HDV
○ 信託報酬が割安
○ 銘柄の分散が効いている
○ 一株単価が比較的安い
○ 長期的にトータルリターンが期待できる
△ 直近の配当率が若干低い
△ コロナショックでの暴落はあるが暴落率が小さい
セクター比率の比較
続いてセクター比率のグラフを並べて確認していきます。
このグラフをみるとそれぞれの銘柄の特徴が見えてきます。
VYM考察
まず際立って見えるのがVYMのセクター分散の幅広さです。銘柄数も多くセクター分散が効いているVYMはまさに安定した高配当株ETFといえます。実際にリーマンショックを経験して生き残っていますし、現在の暴落に対しても下落率が10%以下とその裏付けデータも揃っています。
配当率が2.9%と若干低めな部分が気になりますが、5年増配率をみると平均で年6.67%ずつ増配していることから今後のさらなる高配当化が見込める高配当株ETFといえます。
VYMに対してSPYDとHDVは異なる特徴を持ったETFといえます。
SPYD考察
SPYDに関してはその他のETFにはない、「不動産」セクターがセクター占有率の上位となっている事、7%を超える配当率も特徴となります。
また、SPYDは今回の暴落で一番の株価下落率を記録した事で、今回の暴落での一番の負け組となってしまいました。
ただし、ステートストリート社が今回の暴落を受けて即座に組み入れ銘柄の変更が行われるなど弱点部分が克服されている他、今回の暴落の影響で一株単価が割安となっており、保有口数を増やしていく事で将来的なトータルリターンと高配当を享受できる可能性が広がります。
気をつけておかないといけない事は、配当利回りが4%を超えるような高配当株というのは、事業の成長性や将来性についての懸念から株式市場からはあまり評価されていない、いうなれば不人気銘柄が多く組み込めれているためその部分に関してはリスクがあることも認識しておかなければなりません。
*必ずしもこの高配当が維持されるという保証はないということ
HDV考察
HDVに関してはセクター分布がはっきりしており、「エネルギー」、「ヘルスケア」のセクター比率が大部分を占めている事が特徴となりますが。HDVの構成銘柄は頻繁に入れ替わり、それによってセクター比率も大きく変わるため、こまめに確認していく必要があります。
ただし「エネルギー」セクターに比率が大きくなるという特徴はあまり変わらず、セクター分散という意味だとSPYD同様単体での運用という意味では心もとない印象です。
HDVはリーマンショックを経験していませんでしたが、今回のコロナショックで暴落による耐性がある程度ある事が示されています。配当率も4%を超えており一株単価もある程度安いことからも弱点が少なく比較的購入し易い銘柄といえます。
雑感
VYMを除いては単体でのセクター分散が十分に効いていない印象ですので、その他のETFや個別株を購入することでさらに分散させる必要があると個人的に考えていますが、特にHDVとSPYDは各々の弱点を補いあえるようなセクター構成となっているため、併用する事も検討に入れても良いかもしれません。
まとめ
今回の比較の結果ではどの銘柄も特徴があり魅力的である事がわかりました。
VYMは単独で分散が効いていて暴落に強い個別保有でもいける万能ETF
SPYDは「不動産」セクターを含む配当率7’%越えの高配当株ETF
HDVは「エネルギー」と「ヘルスケア」セクターにエッジが効いた高配当株ETF
VYM以外は個別保有ではなく何らかのETFや個別株を併用しての運用がオススメかなと思います。
いずれにしてもどのETFも非常に優秀な銘柄ですが、最終的には人それぞれの考えや好みによるということとなると思います。
あとはETFを組み合わせることで各々の理想のポートフォリオを作成することも可能です!
この記事が銘柄選びの一つの助けとなれば幸いです!
最後に…
投資はやはり自己責任になりますので、様々な情報に対して自分で納得した上で行動する前提で臨む姿勢が必要であると思います。(上手くいかなかった時に誰かのせいにしてもお金が戻ってくることはありませんので。。。)
金融リテラシーをあげて豊かな人生を歩んでいきましょう!!
投資はあくまでも自己責任!
自分自身が納得した上で行動を!